2019-01-01から1年間の記事一覧
それは、お金の取れるお茶になっているのか。 「お金の取れる」。端的にいえばメニューとして価格が付けられているお茶がそのひとつです。 カフェやホテル、飲食店など様々です。数百円から千数百円。他の飲料の原価からすると日本茶は決して安くは無く、日…
家庭に急須が無いとの記事や報道を目にしますが歴史を振り返れば、品質の良し悪しを別にしてここまで急須があまねく家庭にある時代の方が珍しいでしょう。低価格であれば100均のお店でも急須の様なものは手に入りますし、納戸などを探せば頂き物としてそのま…
他の産業と同じく、お茶も急須も需要の拡大に対して供給が間に合わない形で拡大していきました。近年の抹茶(粉体の茶)が奮ったのも構造としては変わらないでしょう。どちらにせよ、その様な状態は需要減、供給過多の過程で低価格化に向かうのは必然です。商…
一杯の茶を口にした時に洩れる言葉と湧きあがる想い。日本ではチャノキと表される樹木の芽や葉から作られる飲料。チャノキは有用な植物で、おおよそどの様にしても飲用が可能となり、毒性もほぼ無い。技術の巧拙を問わず、湯や水以外の何かをと欲する人の欲…
「お茶をいれる」のに大事なのは何か?何g、何℃、何分といった手順をなぞるのではなく、先ず最初に「どんな香味にいれるか」をイメージして、そうなるようにいれるのです。抜栓して注げば完成のR.T.Dと異なり、狙った香味のお茶をつくる事が出来なければ、マ…
試飲販売などで私が心掛けているのは、如何にして「私」がお茶をいれないかです。茶葉を茶袋や茶缶から取るところからご覧いただき、お茶を注ぐまで急須には出来るだけ触れずにいます。常温の水を使っていれたり、冷茶などをフィルターインボトルなどでご用…
20世紀が終わる寸前、茶販売を仕事とした頃、茶の事もよく分からず、取引先の言葉の中で都合の良い部分だけを利用し、ただ闇雲に産地や製法の優位性に縋るようだったのを思い出します。振り返ると苦笑いと共に、滑稽なほど必死で意固地だったのだなとも。不…
お茶の勉強をしたい。お茶の事がわかるようになりたい。 そんなお話しを伺うことがあります。 その様に言われても、余りにも漠然としていてお答えのしようが無いというのが本音です。 何の為に、どの様なことを程度の事は明確にしてくれればと思いますが、実…
碾茶(抹茶の原料)、玉露は言うに及ばず、煎茶も含めて、高品質高価格帯のお茶が売れ無いと言われます。抹茶がブームなどとされても、売り上げが伸びているのは加工用の低価格帯であり抹茶そのものを楽しむ人は増えていません。業界の内外、茶についての知見…
お茶が好きになったのはいつだろう。友人が書いた本の出だしを読み、ふと自分に問いかけた。 正直に言えば茶業者になるまで、特にお茶を特別に美味しいや好きと思った記憶は無い。茶に関しての記憶を振り返ると中学校へ土産に貰った九谷焼の湯呑みを持って行…
朝、取引先にて昨日、摘採製茶された近藤早生を拝見しました。毎年、激しくなる気候変動に翻弄されながらの栽培と製造。「新茶が出来ました。」この一言の中に織り込まれた出来事や関わられている人々の思いを染々と考えます。摘採の前日、寝入りしなの深夜…
茶業界などで20代から30代など若い世代への日本茶の提案がとされますが根本的な部分で間違えているように思えます。 特に20代はリーフタイプの日本茶を嗜好する人は極々少数派です。生活の中でペットボトルを飲み、仮に茶をとなった場合、ほぼ家や親から貰う…
茶業者となってやらなくてはいけないと思ったのは、お茶の事を分かるようになろうでした。資本力など無く、近しい人たちの縁故に頼るような商いで売上が少ない事に焦りや怖さを感じていました。でも最後に必要になるのは得た知識を伝える事とそれに支えられ…
形が同じ様に見えても同じではないこと。 大陸において火にかけて煮やす為の道具として端を発した横手の注器、茶銚とも呼ばれました。時代と共に、火に掛けずともいれられるお茶が大勢を占める中、時流に乗って生産が拡大し、「急須」は一般の人達が使う生活…
先祖代々といった様なコピー。それを自慢出来るような製品を作れていればその文も説得力を持つけれど、製品がどうと言う事も無ければ一体、何代も費やして何をやっているんだろうとなります。 お茶は狐葉とも呼ばれますが、むしろ逆です。とてもシンプルな加…
桜の澄んだ香りをお茶で楽しむひととき、春はいつでもそこに訪れます。(フェリシモにてさくらかおりを販売いただいた時のコピーです。) 静-7132を扱い始めて17年ほどになります。広尾の日本茶カフェ「蒼庵」にてのメニュー「さくらかおり」の名称を私が引…
萎凋や萎凋香といったキーワードは魅力があります。私もかつて通った道であり、自らの浅学を恥ずかしくも思います。 私は茶業者や茶の関わる人たちが萎凋による花香など表面的な部分に心が奪われている事に気がつけるといいのだけれどと淡い期待をしています…
昨年来、玉露や碾茶についてを考えていますが特に玉露と煎茶の区別は栽培方法であり、その栽培の環境にこそ茶種の違いがあるのだと思えます。栽培環境が茶種を分けるのであれば、化学繊維を使用した遮光とよしずや藁を使用した遮光では被覆下の気温(化学繊維…