nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

年のはじめに

年のはじめに。

以前に記した事柄を書き直した内容です。派生して諸々の事を考える機会にもなっています。

外観について、製茶では美しく作ろうとするのと、よい仕事をした結果として美しくなるのでは、全く別であることが忘れられています。これはお茶の水色についても同じことが言えるでしょう。

お茶に限らず、完成品からの見た目の分かりやすいものはその形や色(香味も含む)に似せることはある意味で容易です。方法としてはいくらでも別のアプローチが考えられ、それは今に始まったことでもありません。

「この様なモノにするのなら、こうすればいいのでは。」この言葉は、ほとんどの場合、元になった品が出来た仕事より、さらに手をかけて大変な作業をしようとする時には出て来ないでしょう。

プラスチックで出来た漆器のまがい物、素材の安さを調味料で誤魔化す料理、白と赤を混ぜてこれでロゼとするワイン、着香表記の無いミント入りの紅茶などなど。作り手の便利と買う側の安いモノを欲する心が生む製品は沢山あります。

海外のワインを見れば認証だらけ、ルールだらけです。翻ってみれば規格をちゃんと決めてそれに沿わなければ守られないからというコトが背景にもあるのでしょう。

日本という国に暮らす人は世界的に見て勤勉で真面目な国民性であるように思います。モノづくりにおいても言葉やルールにせず、規格をつくることが苦手なのかも知れません。それ故に好き勝手なこともまかり通りやすい。

お茶の世界には野放図に適当な考え方や自分に都合のいい言葉が溢れかえっています。まさに滅茶苦茶と言ってもいいほどです。それぞれの立場を慮っての部分から来ることも有るようには思えますが、その根は都合のいい部分を排除して見る事をしなかったからです。作る者、売る者、買う者の皆の責任です。

その状況にモノ売りである私の立場から出来る事、一石を投じる事は何かとなれば、世の中に目利きを増やすお手伝いをする事です。
時代と共に変わる事、変えなくてはいけない事、変えてはいけない事があります。

蒸し製緑茶と急須はとてもシンプルですのでその題材としてぴったりです。
商いをする中で皆さんと共に学び、楽しく過ごす事を目標とします。何卒よしなに。

錦園 石部健太朗