nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

あれから4年。深蒸し茶とは何か。世界お茶まつり2013

深蒸し茶とは何かをテーマとした聞き取り調査と報告書づくり。その一環のディスカッションが行われてからほぼ4年が経ちました。
換金性を追う事が宿命である農産物のチャは飲料としての存在から粉末の食材への移行が加速しています。チャを原料とした乾物の行き先は茶業者からドリンクメーカーや加工食品関係の企業へ。これによって茶の産地による市場の住み分けは、より分かりやすい様相を呈する事が窺われます。

浸出液が結果ではなく、加工品全体がともなれば食品としての扱いが変わって来る事も近い未来にあるのでしょう。

以下は私が4年前にまとめた事柄です。既に時代の流れを感じます。

深蒸し茶とは何か?
30~40秒蒸しを標準として、標準的な蒸熱時間の5割増しから2倍程度。さらに蒸し時間を長くとったものを「特蒸し茶」という。若蒸しの場合は青臭や苦渋味の原因となり、蒸熱が長すぎると苦渋味は薄れるが、香味に乏しく、緑色があせたものとなる。
日本茶インストラクターテキストより抜粋

蒸し製法について単に蒸熱時間で説明をすること自体が間違いなのですが、それがまかり通ってこれたのは、たかがお茶だからなのでしょう。
蒸し製法に「若蒸し」「普通蒸し」「中蒸し」「深蒸し」「特蒸し」は無いのです。
生産量を減らさずに苦渋味を感じにくいお茶をつくろうとしたのが始まりで、望んだのは「蒸けたお茶」でした。
時代を席巻した深蒸し茶と名付けられたお茶の成り立ちを知ること。
まずはここから。

海外のお茶を見てもいえることですが、伝統工芸品のように作られるお茶と工業製品のように作られるお茶があります。ここに是非は無く、そういうものです。そして、伝統工芸品のように作られていたものが、工業製品化していくのも時代の流れのひとつ。
蒸し製の緑茶は今、そのターニングポイントにあります。これは、かつてではなく、「今」起きている事です。
これからの未来において、より換金性が高い製品となるにはどうすればいいのかと同義です。少なくとも飲料として、かつてのような大量消費の国内需要は起きることは考えにくい。
深蒸し茶と呼ばれたお茶がそうであったように、現状よりも美味しく、茶価の取れる製品をつくること。
その為に、深蒸し茶とは何かを考えることは蒸し製の日本茶とは何か、そして製茶とはなんなのかを考えることになります。

2013/11/8 世界お茶まつり グランシップ9階にてお待ちしています。