nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

お茶の品種をとりまく事柄~その①

茶の品種をとりまく事柄<その1>

良い機会なのでお茶の品種がどうして単品で世に出て来にくいのかを文にしてみることにします。一般の方が思い浮かべる農作物の品種と「茶の品種」についての実際は異なっているのだろうと思うのです。

茶の品種について考える時、「茶」が工芸作物※1という農作物であることを忘れてはいけません。

茶は栽培と加工技術が「製品としての品質」に大きな影響を及ぼし、採ってそのまま食べられる作物とは異なる部分です。結果として育てにくく製茶が難しい品種は嫌われることになります。現在、やぶきたが全栽培面積の8割近くを占める理由は摘採適期が長く、製茶がしやすいからに他なりません。やぶきたは他の品種と比べて作り手に都合がいい品種だったのです。茶も他の農作物と同じく換金作物であるので生産者にとって品種は何であれ「高く売れること。」が一番重要になってきます。

実際、やぶきたよりも高く売れる中生、及び晩生の品種は稀な存在です。やぶきたより早い品種が高く売れるのは、やぶきたがまだ摘採時期をむかえていないからとも言えるのです。

~続く~