満更でもない今
高校生の夏、ひと月ほど滞在した黒竜江省 哈爾浜で日本茶をいれた事がありました。
特に日本茶が好きという訳でもありませんでしたが、中国の方との交流にはお茶がいいかと思って、急須と湯飲みお茶を持って行きました。
ところが、現地でお茶をいつもの様にいれてみると味香りが乏しく、色の着いた湯にしかならずとても困惑しました。周囲の大人も理由が分からず、お茶を飲んでくださった人たちに申し訳ない気持ちになったのを思い出します。
食堂では花茶(茉莉花茶)がグラスで飲まれていて、最初は戸惑いましたが慣れるとこれはこれで食事にも合っていいなと思うようになり、帰国の際には買って帰るほどに。
日本に戻り、向こうではこんな風にとグラスに茶葉をいれて湯を注ぐと飲み物とは思えないような強い香りにびっくり。
あれから30余年、当時は考えもしなかった茶業者となり、水質が茶に与える違いの現体験はあの夏の哈爾浜だったなと振り返ります。
今、あの場に私がいたら日本茶はデリケートだから水の影響が大きいんだよ。お湯の沸かし方や葉っぱの量を工夫してみようかと話せることでしょう。
満更でもない気分です。