nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

七夕

20世紀が終わる寸前、茶販売を仕事とした頃、茶の事もよく分からず、取引先の言葉の中で都合の良い部分だけを利用し、ただ闇雲に産地や製法の優位性に縋るようだったのを思い出します。振り返ると苦笑いと共に、滑稽なほど必死で意固地だったのだなとも。

不思議なもので、そうしていると手を差し伸べられるが如くに自らの矮小さに気づくような兆しがあるものです。
意図したわけでは無く出会い、招かれ、知る事になる。後に「縁」という言葉を使う事になるような。

「オレのお茶は好みじゃないと思うけど。」と目を細めて笑う顔。

人柄に触れ、園地を見、品物を知り、茶業者になって心から良かったと思ったのはその人のお茶を扱うと決めた時でした。

形だけの形状モノのお茶一辺倒のポリシーなんて紙くず以下の虚勢でしかないと気づかせてくれたのは山間地で手摘みされた粉のような品種茶。このお茶との縁が無ければ茶業者を続けていなかったかも知れません。

弾む心で川沿いの道を走らせた頃。時間さえあれば園地を見て写真を撮り、話しを聞き、夢のような事を話す日々。

今は年に一度、その道を登ります。
一年間にあったことを報告に。
 
あなたのいない世界はやっぱり少し寂しいよと呟いてしまう日が、今日。