nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

magic of japanese tea

お茶が好きになったのはいつだろう。友人が書いた本の出だしを読み、ふと自分に問いかけた。
  
正直に言えば茶業者になるまで、特にお茶を特別に美味しいや好きと思った記憶は無い。茶に関しての記憶を振り返ると中学校へ土産に貰った九谷焼の湯呑みを持って行ったのを思い出す。給食の時間に出る茶を飲むのに湯呑みがいると考えたからだった。ただ所詮、給食に出るヤカンの茶で別に美味しくもなかった。
 
日本は茶が産業になっている国で、中でも静岡は身の回りに普通に茶がある土地柄。空気や水のような存在で特別なものでもない。美味しい不味いは茶に限った事でもなくあった。
 
好きになったのは茶を意識して飲むようになってからか。何事も意識する事が最初なのだろう。その瞬間から、特別なモノになり、興味が途切れなければ飽きることなく続いていく。いや、これは好きとは違う。面白い事に気付いたが正しい。利己主義者な者にとって面白いと好きは釣り合う天秤にも似ている。
 
短気で恐ろしい程に飽きっぽい自分が20年近くも茶を面白いと思い続けている。知る程に、学ぶ程に面白さは増し、好きの気持ちも強くなっていく。仕事ではあるけれど同業者を見回すと飯の種でしか無い連中の方が多いように見えるから、仕事は決定的な理由にならないのだろう。
 
湯や白湯以外の飲み物に過ぎなかった茶。日本茶は20世紀から21世紀にかけて実にドラスティックな変化を遂げているがほとんどの者はそれに気がついていない。それも無理は無い。水や空気の変化にどれほどの者が気がつくのか。
 
日本茶に意識が向くこと。日本人よりも外国人の方が早いのだろう。これは大きなヒントに違いない。
 
意識をした時から好きが始まる可能性が生まれる。そう思えば、実にいいタイトルだ。
個人的にはカバーの下にあるささやかなタイトルの方が好みだけれども。