nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

同じではない

形が同じ様に見えても同じではないこと。

 
大陸において火にかけて煮やす為の道具として端を発した横手の注器、茶銚とも呼ばれました。時代と共に、火に掛けずともいれられるお茶が大勢を占める中、時流に乗って生産が拡大し、「急須」は一般の人達が使う生活雑器となり産業化して行きました。
 
かつて、火に掛けていた時代の名残は歴史のある土地の品に多いのも納得であり、それも痕跡器官に。
 
火に掛けない道具として作られたのが常滑急須です。原料土や茶漉し、大きさに形状はその前提の上にあります。火に掛けない事が当たり前になっていて作り手さえもその事を考えず、故に知らないのです。
 
作れば売れた時代は競争の中で作り手の技術を育て、淘汰して来ました。大昔の事でありません。戦後のわずか数十年の出来事です。
 
何でも売れた時代が去り、培った技術や急須についてを落ちついて考えて見れる時代が今です。これは日本茶も同じです。
 
数十年を経て、お茶をいれる「道具」として完成の域に達したのは極めて最近です。
 
伝統とするのであれば、それは正にこれから始まるのです。特別な場では無く、私たちの生きる生活の中、そしてその時代に。