私の仕事
一杯のお茶。そのひと口に、人の心は動く。
ある武道家は知ってしまったからにはと背筋を伸ばして日本茶カフェの店頭に立つ。
ある外国の若者は職を辞してでも日本茶の世界に身を投じ、世界を飛び回る。
ある職人は茶を楽しむ為の道具に心を込める。
ある者は少しでもその姿に触れたいと険しい山道を登る。
山の茶園、慣れない山の作業の合間での小さなお茶会。そのお茶の生まれた土地での一杯の茶。
たなごころを伝わる温かさとふわりと薫る茶の香り。
止まる時間の先にある笑顔。動き出す時間。
自然とささやく様に、美味しいだけじゃないとつぶやく声。
山の茶園、その一杯の茶。
ある者は一杯のお茶が人生を変えることがあると。
ある者は日本に来てよかったと。
一杯の茶が開く日本茶の扉。
そんなお茶を私は伝えたい。それが私の仕事。