nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

ただのひとりも。


f:id:kenlupus:20180828124621j:image
これまで試飲販売などを通じて、時折「有機栽培のお茶を」とお声をお掛けいただく事があります。私もJAS有機や二者認証の無農薬の製品などを取り扱っておりますので、そちらをご案内しますがその際に 「お客様の安全に関してだけなら有機栽培である必要はありませんよ。そもそも有機物を直接、植物が吸収するわけでもありませんし山間地生産の一番茶などは摘採前の防除の回数は一回、もしくはしていません。防除後2週間は摘採しない事になっていますので安全性においては問題ないものですよ。」 とお伝えします。 「知っています。私の事では無く生産者の農薬被ばくを減らし、出来る限り環境負荷を減らした農産物の生産が出来たらと思っていますので有機栽培茶を買いたいのです。」 とお話しくださる方は残念ながら、これまでただの一人もいらっしゃいませんでした。

有機栽培の農産物が特別に美味しいかと言えばそんな事はなく、効率的な流通から外れた産直などで手元に届くまでのリードタイムが短い場合などの「鮮度が高い故の美味しさ」を有機だからと勘違いのしている方が多いでしょう。乾物の茶であれば言わずもがなです。(お茶に関して言えば有機栽培故のキャラクターは生まれますが長くなりますので店頭やセミナーなどでお話しします。) わが身可愛さは分からなくもありませんし否定も致しませんが、闇雲に恐れてその先にオーガニックを信奉するのは感心出来ることではありません。

作る側の「有機無農薬だから虫食いでもしょうがない。有機栽培だから美味しくなくても。」は通用しません。それはお客様にとってはただの迷惑です。

写真は2014年5月に撮影した静岡市山間の有機栽培茶園です。立地条件や施肥、更新などを工夫し慣行の園地と比べても全く遜色ない園になっています。