nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

責任の所在

百貨店での販売でご縁が出来て十数年来のお付き合いとなるワインがお好きなお客さま。
山峡や蒼風が好きで、他のところでも山峡などの名前を見かけると買ってみるのですよとのこと。

とてもよくわかるお話です。私もワインが好きで、バーなどのメニューにピノ・ノワールの名前を見かけると注文することがしばしばあります。

でもね、石部さん。品種の特徴がちゃんとしているお茶って本当に少ないのですねと残念そうでした。

そうなのです。ここがワインと比べてお茶の難しいところのひとつです。
ブドウを原料とするワインは果実の段階で香味が異なり、その果汁を原料として製造されR.T.D(レディ トゥ ドリンク 開封すれば直ぐに飲める飲料)として提供されます。

お茶も品種によって確かに生葉の時に味が異なるのですが、加熱と乾燥を主にした製造があり、製品を作る上での変化や影響が遥かに大きいのです。そして、お茶は口にする時に乾物からその成分を浸出させる飲料であり、ワインなどと比べて微味微香のもの。製茶や仕上げの技術差が製品の品質に顕著に現れます。

品種茶の特徴が出ていない原因のほとんどは生産者の技術不足が原因であり、次が仕上げの技術の不足です。この様な製品は品種茶としての販売ではなく、ブレンドなどの原料茶とするのがいいのです。

品種茶として販売しながら、その特徴が出ていなければ意味はありません。
山峡で作れば山峡ではなく、ちゃんと山峡の特徴があるように。

そして、品種茶の特徴が現れていない製品が世に出る事の責任は、生産者や製茶問屋にあるのではなく、販売する者にあります。
お客さまに提供する前に品質を見極めて、売る最前線の者が負うべき事だからです。