ファンタジー無用
お茶や急須に限った事ではありませんが、作り手は自らの作ったものの価値や評価は出来ないのです。手間や時間などについては話せても、何を作れたのかの評価は自分では出来ない。
商いを通じて仕入れを行い、お客さまに品々を販売をしていくことを生業とする者は、多くの品々を見て学び、どの様なことがされて、どんな手間が掛けられているのかを知る機会があります。そして、出来不出来も含めて、品物の価値を認める目利きになる役どころを担います。大事なお金を無駄にしてしまわないように。
私の扱っている品は生産量が少ないため、取引先も限られているので遍くとはなりません。卸のご相談をいただいても、既に行き先があり、お応え出来ない場合がほとんどです。申し訳ありません。それであっても、私の主な仕事は裏方です。
販売の経験から顕在化はしていないけれど求められていることなどをお話しして、それぞれの商圏での展開について提案をしたりも。
取組み先も年々成長し出来る事、知識も増えていき、何年ものお付き合いをしている中で、ようやく産地ではなく、消費地だからこそ伝えられることがあると思えるようになりました。
聞こえのいいファンタジーなんていらないのです。伝えたことに嘘がないように。そんな品々を選んで売ること。
買う側だから、使う側だから伝えられることがある。品物の何が好きで、どんなところがいいのか。どうして、それを買うのか。好きの気持ちと目利きの力を重ねて。
売る側にも近道などなく、時間を掛けずに得られることなど僅かです。