美味しいだけではない
昨夜、僅かな時間ですが業界外の立ち位置で茶の審査に関わってくれている友人と話をしました。
コーヒーやワインの話題から日本茶の話題に。マシンで一般の人の期待値をクリアするコーヒー、そしてニューワールドのワイン、どちらも美味しく作り込まれているものです。商品として流通し、支持されている物の多くに通じる部分です。そして、品評会を是とする日本茶もこれに近いのです。
規格に沿った評価と減点法。満点が最高点になる世界。とても正しい事です。
会話の中で築地東頭の話題になり、彼からこのお茶はやはり違うなと思ったと言葉が出ました。
美味しいだけではなく、ちゃんと作っているのだけれど作り込み過ぎていない、このお茶の凄いところだなと思うと。
そうですね。必要な事を全てしながら、野趣がある事。それこそが大事な部分であってオリジナルなのでしょう。
ニューワールドに対してのフランスのワインであったり、マシンに対してのハンドドリップの魅力であったり。
満点は素晴らしいですが、つまらないものです。満点以上を目指す事が目的なのですから。ただの陶器に陶器以上の価値を見出だした先人。混沌の中で価値の創出に向かった人の強さ。
21世紀になったばかりの時、自らの肩書きの中に、ただ美味しいだけではないを伝えたいと、言葉の意味もあやふやなまま書いた一文が最近、やっと見えて来た様に思えます。
私の力ではなく、関わってくださる皆さんのおかげです。ありがとうございます。