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nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

シングルオリジンを冠するのであれば、腹をくくって真面目にやろう。お金の為ならおやめなさい。

コーヒーなどから端を発した「シングルオリジン」という呼び名。ワインのモノポールとも似ていますが、日本人が覚えやすい単語と響きのいい言葉だなと思います。
 
さて、私は販売の実績も含め、日本茶における品種単品や単産地、単園の製品提案に関してはフロントランナーである事を自覚していますが、実はこのカテゴリーの正体は「大手の参入が困難で、参入しても売り上げ的に意味が少ない商品群」です。これは、シングルオリジンやスペシャリティーと冠が付くコーヒーも同じです。
 
茶などは加工度の低い少量生産の工芸作物を扱う商いなので、では生産者からの直仕入れと思いつく方が多く、これまでもそのような動きが見られましたが、私は直仕入れの品を販売した事はありません。製品はほとんどが、単品なのですから合組(ブレンド)は無いのに、必ず『生産者→製茶問屋(仕上げ問屋)→私』の流れです。

勿論、経由する事によって価格は上がります。なぜ、それをするのかとすれば、荒茶を原料とした「仕上げ」とはお茶の製品としての品質を上げる技術であり、日本茶における重要な部分だからです。

「品質の低下に繋がる部品を除けて、再加熱をし香味を向上させる。」仕事が仕上げです。この中には茶以外の異物の除去も含まれます。
 
はっきり言えば、生産者の行う仕上げなどは仕上げとは呼べないレベルです。餅は餅屋なのです。

仕上げによって失われるものもあります。お茶は触るほど、道具を通すほどに形状が小さくなってしまいます。これはいつも仕方がないのだけれど勿体ないと思ってしまう部分です。(ほいろの火入れでは不十分であったり、問題があります。)
仕事には失敗のリスクが伴います。生産量が少ない荒茶であれば、火入れに些細なミスがあればそれでアウトであり、販売品は一年間無しとなりかねません。
 
それらを鑑みてもやはり「仕上げ」によるプラスの方が多いが結論です。
 
近年、気候変動の影響や施肥など様々な事柄が絡み合い、原料となる荒茶の質が変わり、仕上げの必要性がさらに増して来ています。この事に気がついていない茶業者は不勉強であり、経験と思慮不足です。
 
シングルオリジンは真面目に取り組めば取り組むほど、リスクが大きく売り上げには上限がある商品です。一年や二年の物珍しさで販売するのは生産者に対しての裏切りであり、いいとこ取りなどは卑怯者の方便に過ぎません。日本茶の産地は日本であり、茶は永年性の農作物です。

その点を踏まえ、腹をくくって、性根の座った商いに臨まれることをおススメします。自らをお茶屋だとするのであれば。