nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

お茶の品種をとりまく事柄~その④

茶の品種をとりまく事柄<その4>

生産者の工場で出来上がった「荒茶」は「製茶問屋」によって仕入れが行われます。製茶問屋は再製工場とも呼ばれ、荒茶を原料として「仕上げ茶」を作ります。仕上げ茶が小売店などで販売される商品としての茶になります。
製茶問屋の仕入れ後に品種単品として世に出るか、ブレンド(合組)の原料になるかが決まることになりますが、実際には品種単品で世に出ることは少ないのです。何故なら生産量が僅かで品質が安定しない品種茶を商品とした場合、特定の生産者のつくる荒茶に問題が発生した時、他で手配をする保険が無いことになります。
販売店及び消費者に対して商品を安定供給出来ないことになり、損失へ直結します。効率的な経営から見て商品が供給出来ないことに関しての「お詫び」は利益を生まない単なるマイナスでしかありません。
また、ブレンドは製品を安定供給する為のものであり、それによって出来たお茶はブレンドによって似たものを作ることが可能になりますが、産地や茶園を限定した「単品」はブレンドでは作れません。生産量が多い品種であるのならまだしも、そうでないものは商品としての扱いが難しいのです。

ブレンドについて美味しいものをつくる為にという言葉を耳にしますが、商品として販売するのであれば「美味しくすることを考えるというのは当たり前のこと」でありそれは巷の飲食店であってもしていることで特別なことではありません。

問屋からすれば、ブレンドの邪魔にならず自社の個性を演出出来る原料であるのが望ましく、往々にしてメインとなるお茶よりも安価な方が助かるというのが本音です。現場において品種の際立った個性は嫌われる場合が少なくありません。
個性のある品種は好きだという人もいるかわりにキライだという人もいるのです。