nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

「眠る時間が欲しかったら紅茶を作りなさい。」「お金が欲しいのなら烏龍茶を作りなさい。」

「眠る時間が欲しかったら紅茶を作りなさい。」「お金が欲しいのなら烏龍茶を作りなさい。」

これは以前に台湾茶に関してのお話しで耳にした言葉です。製茶について少し真面目に考えた事がある人なら合点がいく事でしょう。烏龍茶としてのキャラクターを持つ茶を作るには数時間ごとの作業が必須になる事をさしています。

茶製造は茶葉内の水分が減っていき、水が表面に出にくくなるのに、浸み出してくる水分と乾いていく水分をバランスさせる作業の連続です。

日本の蒸し製緑茶において蒸熱から始まる一連の工程が機械化出来ているのは、その状態を維持するように設計がされているという事です。大事なのは各工程の機械に正しく仕事をさせる。一例で言えば、粗揉機の仕事を中揉機にさせないようにする。

その為に粗揉機から揉捻へ行く際、中揉機から精揉機へ行く際の取り出しの際のタイミングが重要になって来ます。その見極めが蒸し製緑茶の製茶における生産家の技術のひとつです。

かといって、何度も、何度も手をいれて確認するのはいけません。手で取って機械の外に出たお茶は機械の中にいるお茶とは変わってしまう事になり、乾燥が揃わなくなる元です。
精揉機に張り付いてお茶を何度も何度も触ってしまうのは製品の価値を下げている事に他ならないのです。

さて、茶葉のような構造をしたモノが同じ環境に置かれていてはリニアな乾燥など出来る筈が無いのは殆どの方は想像がつくでしょう。熱や圧力、風などのストレスを与えなければ不可能です。

烏龍茶製法の茶は自然環境(気温や湿度)の影響が激しく、各工程においても生産者の五感による判断と手作業が発生します。つまり、機械化出来ていない製茶であり生産サイドの負担は製茶ラインで作られる茶の比ではなく、それはそのまま製品の誤差に直結し、安定した品質の維持が困難である事を意味します。

製茶に時間が掛かり、出来上がるまでの時間が読めない茶種が烏龍茶です。その茶を製茶機械での生産に慣れた者が出来るようになるには並大抵の事ではありません。巷に出回る「国産 烏龍茶」と名付けられた茶の品質がお世辞にも是と言えないものが多いのには理由があっての事なのです。