nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

世の中に売っていないモノを売れたらいいなあ

私は本当に大切で良いモノは、きっと売っていないのだろうと思っています。

値段では無く、親戚や知り合いが「山に行って来たんだよ。」といいながらくれる山の幸や、「季節だからなあ。」と手渡してくれる釣ったばかりの鮎。どれも販売の流れには乗らないモノです。気持ちも鮮度も「売り物」はとても敵いません。

値段分の品質を維持し、年間安定を主軸とした「茶」。カタログ写真に則した製品を納品する「急須」が売っているモノ。それは消費が旺盛で安定供給が目的であった時代の鏡です。

年間たった10㎏しか生産量が無い単品の仕上げ茶。焼ける度に明らかに出来栄えの異な常滑急須。
量が少なく、多くの業者さん達のような大きな売り上げは作れない品です。

どれも数十年前には「商品」として売っていないモノでした。

「それしかないの?」
「1個だけ?」

驚かれる方、それじゃあ商売にならないでしょうと半ば呆れた表情をなさる業者さんは勿論いらっしゃいます。

作り手の
「大事に売ってくれてありがとう。」
「今度はこんな風に焼けたよ。」
 
お客さまの
「今年のお茶は甘い味になりましたね。」
「素敵な景色の急須ですね。心惹かれます。」

私の言葉はどちらへも
「ありがとうございます。」
 
茶業や窯業といった大きな産業の中で、ひっそりと楽しく商いをさせていただけているなと思います。これからも、世の中に売っていないモノを売れたらいいなの気持ちを抱えながら。

皆さま、ありがとうございます。