nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

急須に蓋がいるのかって!?いるさ!モチロン!!

急須に蓋は必要なのか?
答えは当然「必要」です。特に「良質な茶を生産及び販売をしている。」と口にするなら、無くてもいいなどといった答えになる筈はありません。

日本茶は園地での栽培、製造、成分、水質などが相まって「低温度帯の湯(水)」を用いても比較的短時間で浸出が可能な茶種です。

「お湯を冷まさなくてはいけない」と言われますが、低い温度帯でもお茶がいれられるのは大きなメリットなのです

旨味成分が多く、軟らかな原葉を使用した日本茶の製造工程において、恒率乾燥(表面に出て来る水分と乾く水分を等しい状態)を維持しながら製茶を行えば表面から内側に向かって大きく味が変わるお茶が作られます。

※恒率乾燥の状態を維持するのは日本茶に限った事ではありません。これは茶生産の基本であり、烏龍茶製法の萎凋時における攪拌の大きな意味は恒率乾燥の状態を促す為です。

階層構造のようになっている茶の香味を引き出すには段階的に茶葉に与えるストレスを強くしていきます。

急須を使う場合の「ストレス」はお湯の熱です。闇雲に揺するといったストレスはバランスを壊し、煎を重ねる事によって楽しめる味わいを台無しにします。

茶葉に与える熱は「湯温」「湯量」「冷め方」によって決まるのですから、煎を重ねた先に更に熱を与えるには「冷めにくい」状態にしなくてはいけません。煎で言えばおおよそ四煎目以降。

一杯の茶を美味しくしたいとした時に温度のコントロールをするのに「蓋」は必要なのです。

「お茶は解く(ほどく)ようにいれる。」
「お茶は静かにいれる。」

これはお茶のいれ方の基本です。

時計の針を戻すようにお茶をいれましょう。お茶は最後に起きた事が最初に出て来ます。煎を重ねた先に蒸かした直後の香味や茶園で感じたような味わいが楽しめた時、それこそが「栽培、製茶、製造、お茶をいれる事の全てが上手くいった証」なのです。関わった人々の仕事の結実が「お茶」です。

お茶とは面白いものですね。