nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

日本茶はいつまで飲めるの?日本茶のヴィンテージ出来ます。

日本茶のヴィンテージが持つ可能性。  

現在、流通している商品としての茶葉は「新茶」そして「当年産の茶」です。ヴィンテージの日本茶が定着すれば前述の2種ではない「第3の商品」としての茶となります。   ヴィンテージとするのであれば、相応の価値がある茶が相応しいので、価値が担保された製品である方が意味を持ちます。 生産者、品種、土地、年度なども重要な情報になり、それらは基本的に茶価の高い製品です。

飲んで楽しむ事は勿論ですが、コレクション性や意味のあるギフトなどともなります。 外装などのパッケージもそれに向けて一考も。保存する際の量目も少ない方が経年による変化もスムーズであり、お客さまの手元においても特別な道具を必要とせず、概ね4℃の保管を心がけていただければいいでしょう。冷蔵庫で言えば「野菜室」などです。 そして、仮に常温であったとしても未開封であれば健康被害の起きる変質はまず考えられません。   人口が増えて、家の数も増えていった時代は常に消費でしたが、その針の向きは今、変わっています。より楽しむ。より豊かな気持ちにとなる方向にヴィンテージの日本茶は存在しています。

日本茶のヴィンテージについて、茶業に関わる方で、最も驚かれるのは下記の一文でしょう。
『酸味を感じるような香りである「ヒネ臭」は経年変化の途中で生まれる香りであり、いずれ感じなくなります。』 

これまでも相対でお話しをする際にほとんどの方が「そうなんですか?」と反応をなさいます。無理のない反応です。きっと私でもこれまでの経験が無ければそう言う事でしょう。何故かと言えば、保管時の単位(茶葉の量目)が大きく影響をすると思われるからです。今回の拝見でも、2004年産の本山産ヴィンテージ「築地2004」において、50gのパッキングは該当の香気が感じられず、5㎏のバルクにはそれが残っていました。

茶業者の保管は基本的に数10㎏×何本といった単位の大きな量目であったり、㎏単位の窒素充填です。そして、「保管時の量目は多い方が痛み難い」が常識ともなっています。商いとしても長期間動かない在庫を持つ事は好ましい事で無いのが基本です。   「ヒネ臭(酸味を感じるような香り)」は「経年変化の途中で生まれる香り」であるといった知見を得るには困難な環境なのです。 ヴィンテージとは出来た時のまま変わらないのでは意味がありません。当年生産のお茶で十分です。 経年によって飲料として好ましい方向で香味が変わり、それまでとは異なったキャラクターの製品となること。生産年度と相まって価値となるのがヴィンテージです。 これはワインなどにもなぞられる事象なので理解しやすいですね。

十数年を掛けて得た知見ですが、始まったばかりの製品がヴィンテージの日本茶です。 お伝えする事は吝かではないので、是非、多くの方々が参考になさって取り組んでくださればと思う次第です。