nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

お茶の値段を上げるには

先日、某所にて茶価を上げるにはとの話が出ました。

「価格帯を上に設定しても他所から安いお茶が入ってくるだけなのだ。値段で買うならこの程度でしょうがない。その値段にしかならないなら、これしか作れない。」

お茶が美味しくなくなるのも道理で、負のスパイラルです。


茶価を上げるのであれば、出口の値段(販売価格)を上げる他ないでしょう。それが無理なのなら更に効率化を進めて現在の茶価でも利益が出るようにしていく。または海外などの別の売り先を見つける。ただ言葉の壁は決して薄くも低くもなく、面倒事は少なくありません。人件費が世界的に見て最高レベルの日本です。


販売の現場でこれまで一番売りやすいのは「値段」でした。お茶では詰め放題のイベントなどはその最たるものです。年数回のお祭りならそれもいいかも知れませんが定期的に、入れ替わり立ち替わりそんなことをしていればそれ目当てだけの売り場になっていきます。

商売でみれば客単価を落としてリピートの時間を長くするだけで魅力はどんどん失われていく。同じ品種、同じような製法、同じような味、別に差し替えが効くただの「茶」です。素人がなんとなく美味しい、「この値段ならこれでいいか。」と思えるようなお茶を作るのは難しいことではありません。

茶価が落ちないこと、販売価格が他に影響されないこと。それは「ならではの品」、「差し替えが効かない製品」をつくるしかないが私の結論です。品種、園地ロケーション、製造など。

ボヤボヤせずどんどん前へ進んでいく気持ちがなければ手遅れになります。何せ一番茶は年に一回しかなく、30年のベテランといったところで同じ園地の一番茶をお茶にしたことは30回しかない。機械が大きくなれば尚更です。


輸出や好景気に支えられた一大産業のような茶の時代は二度と来ないでしょう。その時代のお陰で本来の深くお茶の楽しむ為の下地は出来ました。
斜陽産業などではなく、新しい茶の時代の帳に立っているのが今です。

21世紀、個性的な品種に溢れ、お茶をいれる安全な水にも事欠かない時代です。少し出掛ければ園地も見れる。精度の高い自国産茶器も沢山あります。真面目にお茶のことを伝え、丁寧にお茶をいれればいいだけで茶の未来は明るいのです。