nishikien’s blog

お茶に纏わる事柄をつらつらと。

世界の端に

もう急須でいなくてもよい時代を作れたらいいよね。とてもカッコよくて、手にしたくて、欲しくなるような。そして、お茶をいれたら当たり前の様に使いやすくて。それでいて使うのがどこか勿体ないモゾモゾする気持ちになるみたいな。きっと、私達はその世界…

2020年

終わり良ければ全てよし。 令和二年師走。お客さまとのやり取り。最近のお茶は香りが無くなってしまってとのお声に対して。そうですね。お茶を取り巻く様々な環境が変わりましたからね。昔と同じにはならないですよ。ただ、昔には無かった香りの品種茶も出来…

碧眼の後進へ

チャンスがあるなら一番良いものを見た方がいい。取材であるかどうかを私は気にしない。いつものようにする。それでいいだろう。ならあの山の茶園へ行こう。そこでお茶を飲もう。君が初めて見た年よりも今年の園は素晴らしい。そういえば、あの園地のお茶の…

一番美味しいラーメン

コーヒーは喫茶店にある「高いモノ」だった。子供の頃、母が買ったインスタントコーヒーにクリープをいれて飲んだのを思い出す。自分にとって身近なコーヒーやプリン、ラーメンはみんなインスタントだった。 忙しそうにしている母が時折、アルミのカップにプ…

あの一杯

私が初めて、ここまで変わるのかと驚き、その理由を尋ねた飲料は何か? 私を知る人はお茶かと思われるかも知れませんが違います。それはビールでした。 横浜での仕事を辞め、静岡に戻ってから行ったビヤホール。ビールは居酒屋でワイワイと飲むお酒で特に難…

オンライン日本茶勉強会

オンライン日本茶勉強会「日本茶なんでも質問会」、毎週金曜日午後9時半~40分間開催しています。主にZOOMを使用しています。今回で18回目です。参加条件は「日本茶を飲みながら」 多い時に80名、平均約40名程度の方がご参加くださっています。 食事などの時…

人は大人になる事を希求し、それを成さねばならない

人は経験と齢を重ねた時、次世代を育てる役割を持つ。そうなれるように生きるのが人であると信じている。 先人、先輩諸氏に自らが未だに教えられ、庇護されているとしてもだ。その庇護に感謝しながら、先達が口にするキサマ如きがとの指導も飲み込みながら届…

日本に来て良かった

2017年7月初旬、日本に来て良かったの言葉で終わる書籍の校正を終え、少し古い急須を棚から取り出して茶をいれた。この急須の年の離れた兄弟は世界を旅していると言うのだから、何とも面白く思える。選んだのは恩師の作った茶。 最初の原稿を読んだのは6月の…

満更でもない今

高校生の夏、ひと月ほど滞在した黒竜江省 哈爾浜で日本茶をいれた事がありました。 特に日本茶が好きという訳でもありませんでしたが、中国の方との交流にはお茶がいいかと思って、急須と湯飲みお茶を持って行きました。ところが、現地でお茶をいつもの様に…

才能豊かな方々へ

お茶の事を仕事にしたいとのお話しをうかがう事があります。ほとんどの方たちが優しい雰囲気で、私が知るところの世代が上の茶業者諸氏とは真逆の人たちの様な印象です。後発組の私もきっとそうなのでしょう。どの様な気持ちでお茶に関する仕事をするのかは…

君、責めることなかれ

人の無学を責めないこと。驕らないこと。 お茶に纏わる事柄を仕事として二十余年が経ちました。仕事をする上での知識取得やご縁の中での学びがあり、拙いながらも、時おり人前でお話をさせていただく機会に恵まれるようにもなりました。勿論、努力をした部分…

穀雨の日に

2020年4月19日、日曜日。暦は穀雨。暦を連想することを忘れてしまうような快晴。十余年続いていた百貨店での4月の新茶販売が災厄で無くなり常々、考えていた園地からの中継をブレケルオスカルさんと行うことが出来ました。私の仕事の中で日常となり、当たり…

話せるシゴト

品物にはストーリーが必要と言われます。少なくとも作り手がそれを話せる必要はありません。モノ売りが話せるような仕事をしてくれればいいのです。 モノ売りは品物や作り手の仕事が、人に話せるような事なのかをわかるようにならなくてはいけません。それは…

年のはじめに

年のはじめに。 以前に記した事柄を書き直した内容です。派生して諸々の事を考える機会にもなっています。外観について、製茶では美しく作ろうとするのと、よい仕事をした結果として美しくなるのでは、全く別であることが忘れられています。これはお茶の水色…

自分なら払いますか

それは、お金の取れるお茶になっているのか。 「お金の取れる」。端的にいえばメニューとして価格が付けられているお茶がそのひとつです。 カフェやホテル、飲食店など様々です。数百円から千数百円。他の飲料の原価からすると日本茶は決して安くは無く、日…

そう言うあなたこそ

家庭に急須が無いとの記事や報道を目にしますが歴史を振り返れば、品質の良し悪しを別にしてここまで急須があまねく家庭にある時代の方が珍しいでしょう。低価格であれば100均のお店でも急須の様なものは手に入りますし、納戸などを探せば頂き物としてそのま…

王子様や騎兵隊

他の産業と同じく、お茶も急須も需要の拡大に対して供給が間に合わない形で拡大していきました。近年の抹茶(粉体の茶)が奮ったのも構造としては変わらないでしょう。どちらにせよ、その様な状態は需要減、供給過多の過程で低価格化に向かうのは必然です。商…

人に優しく

一杯の茶を口にした時に洩れる言葉と湧きあがる想い。日本ではチャノキと表される樹木の芽や葉から作られる飲料。チャノキは有用な植物で、おおよそどの様にしても飲用が可能となり、毒性もほぼ無い。技術の巧拙を問わず、湯や水以外の何かをと欲する人の欲…

手順の一歩先へ。

「お茶をいれる」のに大事なのは何か?何g、何℃、何分といった手順をなぞるのではなく、先ず最初に「どんな香味にいれるか」をイメージして、そうなるようにいれるのです。抜栓して注げば完成のR.T.Dと異なり、狙った香味のお茶をつくる事が出来なければ、マ…

未完成の一杯

試飲販売などで私が心掛けているのは、如何にして「私」がお茶をいれないかです。茶葉を茶袋や茶缶から取るところからご覧いただき、お茶を注ぐまで急須には出来るだけ触れずにいます。常温の水を使っていれたり、冷茶などをフィルターインボトルなどでご用…

七夕

20世紀が終わる寸前、茶販売を仕事とした頃、茶の事もよく分からず、取引先の言葉の中で都合の良い部分だけを利用し、ただ闇雲に産地や製法の優位性に縋るようだったのを思い出します。振り返ると苦笑いと共に、滑稽なほど必死で意固地だったのだなとも。不…

一線を画する

お茶の勉強をしたい。お茶の事がわかるようになりたい。 そんなお話しを伺うことがあります。 その様に言われても、余りにも漠然としていてお答えのしようが無いというのが本音です。 何の為に、どの様なことを程度の事は明確にしてくれればと思いますが、実…

百歩譲って

碾茶(抹茶の原料)、玉露は言うに及ばず、煎茶も含めて、高品質高価格帯のお茶が売れ無いと言われます。抹茶がブームなどとされても、売り上げが伸びているのは加工用の低価格帯であり抹茶そのものを楽しむ人は増えていません。業界の内外、茶についての知見…

magic of japanese tea

お茶が好きになったのはいつだろう。友人が書いた本の出だしを読み、ふと自分に問いかけた。 正直に言えば茶業者になるまで、特にお茶を特別に美味しいや好きと思った記憶は無い。茶に関しての記憶を振り返ると中学校へ土産に貰った九谷焼の湯呑みを持って行…

新茶が出来ました

朝、取引先にて昨日、摘採製茶された近藤早生を拝見しました。毎年、激しくなる気候変動に翻弄されながらの栽培と製造。「新茶が出来ました。」この一言の中に織り込まれた出来事や関わられている人々の思いを染々と考えます。摘採の前日、寝入りしなの深夜…

お茶なんて買いませんよ

茶業界などで20代から30代など若い世代への日本茶の提案がとされますが根本的な部分で間違えているように思えます。 特に20代はリーフタイプの日本茶を嗜好する人は極々少数派です。生活の中でペットボトルを飲み、仮に茶をとなった場合、ほぼ家や親から貰う…

茶業者となって

茶業者となってやらなくてはいけないと思ったのは、お茶の事を分かるようになろうでした。資本力など無く、近しい人たちの縁故に頼るような商いで売上が少ない事に焦りや怖さを感じていました。でも最後に必要になるのは得た知識を伝える事とそれに支えられ…

同じではない

形が同じ様に見えても同じではないこと。 大陸において火にかけて煮やす為の道具として端を発した横手の注器、茶銚とも呼ばれました。時代と共に、火に掛けずともいれられるお茶が大勢を占める中、時流に乗って生産が拡大し、「急須」は一般の人達が使う生活…

何代もかけて何を

先祖代々といった様なコピー。それを自慢出来るような製品を作れていればその文も説得力を持つけれど、製品がどうと言う事も無ければ一体、何代も費やして何をやっているんだろうとなります。 お茶は狐葉とも呼ばれますが、むしろ逆です。とてもシンプルな加…

さくらかおり

桜の澄んだ香りをお茶で楽しむひととき、春はいつでもそこに訪れます。(フェリシモにてさくらかおりを販売いただいた時のコピーです。) 静-7132を扱い始めて17年ほどになります。広尾の日本茶カフェ「蒼庵」にてのメニュー「さくらかおり」の名称を私が引…